日本列島は北東から南西へと細長く連なっており、その気候区は亜寒帯から亜熱帯におよんでいます。そのため多様性豊かな生物相が形成されています。北海道はその北端部に位置しており、日本では最も北方系に富んだ大陸的要素の生物相に恵まれています。
全体としての昆虫相は、水平的には、北海道からカラフト及び千島列島にかけての地域において温帯系から亜熱帯系に移行していますが、垂直的には、大雪山の高山帯では他の日本の山岳地では見られない、より亜寒帯系の昆虫相が形成されています。
北海道は地形・地質的には、石狩低地帯を境に、南西部と東部の主体的に大きく分けられますが、昆虫相も植生と同じく、石狩低地帯を境に、本州要素の大きい南方系から、より北方系の大きい昆虫相への移行状態が見られます。例えば、大雪山山麓部に普通に見られるカラフトヒョウモン、ホソバヒョウモンシロオビヒメヒカゲ、カラフトタカネキマダラセセリなどは石狩低地帯以南には分布していません。
大雪山の昆虫相は、全体としては道北や道東と同じような構成要素で形成されていますが、最も特異なのは高山帯の昆虫相です。ここでは氷期の落とし子と呼ばれるウスバキチョウやアサヒヒョウモンなどで代表される高山昆虫が豊かに生息しています。これらの大雪山特有な高山昆虫の分布形成は過去の地史(氷期及びその後の温暖期)と深く関連していますが、詳しくは同会発行の「大雪山の高山蝶」にふれていますので参考にしてください。
大雪山国立公園地域からは現在まで3,000種を越える昆虫類が記録されていますが、ここでは、チョウ、コウチュウ、トンボ、バッタなどの一部の代表的な昆虫を紹介します。
高山の昆虫
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ウスバキチョウ、カラフトルリシジミ、アサヒヒョウモン、ダイセツタカネヒカゲ、クモマベニヒカゲ、ダイセツヒトリ、ダイセツドクガ、コイズミヨトウ、ダイセツオサムシ、ダイセツマルクビゴミムシ、ヌタッカゾウムシ、ダイセツタカネフキバッタなど
森林とその周辺の昆虫
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ミヤマカラスアゲハ、エジシロチョウ、アイノミドリシジミ、メスアカミドリシジミ、エルタテハ、キベリタテハ、ヒメキマダラヒカゲ、マツオオエダシャク、アイヌキンオサムシ、オオルリオサムシ、ヒメクロオサムシ、ツンベルナガゴミムシ、マルガタハナカミキリ、シラフヨツボシヒゲナガカミキリ、ハンノキアオカミキリ、チビマツアナアキゾウムシ、ヤツバキクイムシ
草原の昆虫
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ヒメウスバシロチョウ、ヒメシジミ、ホソバヒョウモン、カラフトヒョウモン、クジャクチョウ、コヒオドシ、ベニヒカゲ、シロオビヒメヒカゲ、カラフトタカネキマダラセセリ、サッポロフキバッタ、ハネナガキリギリス
河川・渓流沿いの水辺の昆虫
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オオイチモンジ、クロマルクビゴミムシ、ルリマルクビゴミムシ、チシマミズギワゴミムシ、ヒメカワチゴミムシ、オオクロナガゴミムシ、ノグチアオゴミムシ、カノシマチビゲンゴロウ
池沼・高層湿原の昆虫
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アオイトトンボ、ルリイトトンボ、ルリボシヤンマ、クモマエゾトンボ、タカネトンボ、カオジロトンボ、ダイセツマメゲンゴロウ、メススジゲンゴロウ、ミヤマミズスマス、スゲハムシ
そのほか、特異な崖地にはジョウザンシジミ※などが生息しています。
※本ページの作成にあたり、保田信紀(解説文・写真)氏、建脇宏安(写真)氏、渡辺康之(写真)氏のご協力をいただいています。