ENGLISH Page
ホーム 大雪山の大自然 大雪山の歴史 大雪山を楽しもう フォトギャラリー 保護・管理 関連リンク
基本的な考え方

以下に登山の心得の目的及び策定にあたっての前提条件や大雪山地域の条件などについて述べます。

 

登山の心得の目的

 

ここでは、日本の国立公園の中でも特異な自然環境及びスケールをもつ大雪山国立公園において、次世代にこの貴重な自然環境を引き継ぐために、登山者1人1人に守ってほしい基本的な事項を明確にすることが目的です。そして、その後に普及啓発活動を行っていくことを前提としています。今回は、基本的事項だけの策定ですが、将来的には水準ごと又は自然特性や利用者に応じた心得の策定も予定しています(図3-1参照)。

 

図3-1 大雪山における登山の心得の策定と普及啓発の関係 

image001

 

 

前提条件

 

①登山の心得は大雪山の生態系の保全を優先することを前提に、既に登山道周辺の生態系や景観への影響が派生している場所や今後派生するおそれのある場所について、登山者に守って欲しい基本的な事項です。
②登山利用は、登山者自身の経験と技術・装備に基づく自己判断と自己責任によることが前提です。
③登山道は、登山者が自由に歩行できることを原則とします。ただし、法的に利用を制限すること(自然公園法に基づく利用調整地区の指定等)は、現時点では具体的な検討は行いません。

 

 

自然条件

 

①気象条件が厳しい(本州の3000mの山岳環境に匹敵)。冬期間(積雪・残雪期)が長い。夏山シーズン(一般的な登山シーズン)が6月中旬から10月上旬と短い。
②登山シーズンと残雪(雪渓)・融雪時期が重なる。このため融雪水による登山道荒廃や、利用者が足元の悪い道を避けて歩くことによる植生破壊が起こりやすい。
③山稜部は比較的平坦な地形が広がり、雪田植生群落や風衝草原などの脆弱な高山植生地となっている。(大部分が国立公園特別保護地区)
④地質が火山性堆積物を主体とすることから、踏圧などの影響を受けやすく、侵食・崩壊に弱い。
⑤ヒグマやナキウサギなど貴重な野生動物の生息域となっており、利用が生息環境に悪影響を及ぼす可能性がある。一方、ヒグマとの遭遇による危険性もある。

 

 

利用施設および利用の実態

 

①高山植物および紅葉が有名であり、かつ日本百名山(深田久弥著)が3つあるため、訪れる利用者は多い(表大雪山では登山者だけで年間12万人の入り込みがある)。
②一般的な夏山シーズンが短く(6月中旬~10月上旬)、高山植物の開花期(6月下旬~7月)と紅葉期(8月下旬~9月中旬)に登山者が集中する。
③大雪山の登山者全体の数は減少傾向にあるものの、近年はツアー登山や中高年の登山者が増えて、踏圧の集中や登山用ストック(登山用ステッキ・トレッキングポール)の使用などが以前より顕著になってきている。これによる植生の衰退も見られる。
④有人の石室・避難小屋が極めて少なく、また、旭岳、黒岳、十勝岳以外はアクセスが比較的不便である。高齢者や経験・技術の未熟な登山者が増加し、遭難事故が増加傾向にある。
⑤トイレ施設も少なく、利用者のし尿の問題が生じているほか、トイレ道の出現がある。
⑥特殊な技術(岩登り、沢登り等)を要する登山道は少ない。